部下がみるみる変わる面談

 私が監査法人に勤務していたとき受けた面談や、銀行員だったとき受けた面談で、面談が終ったあと、前に進むことができた面談と、そうでもないなという面談があったことをしみじみ思い出します。そのときには、まだ、面談をしてもらう側としての姿勢がなっていなかった、決意ができていなかったのではないかと、とても反省しています。

 

本来、面談は、上司と面談相手の相互理解を深め、組織や上司、部下の進む方向性をすり合わすために行うコミュニケーションの場です。したがって、面談は以下の要件を備えていなければなりません。

 

  1. 明確な目的
  2. 上司への信頼
  3. 結論

がそれらです。

 

まずは、明確な目的です。上司の目的意識だけではなく、部下の目的意識が必要です。そもそも、自分は所属する組織で一体何をしたいのか、何を達成したいのかを持ち、やりたいことを達成するために仕事をしているという思いでは仕事はうまく行きません。自分の「やりたいこと」「やらなければならないこと」と組織の目標が合致している時、人は力を発揮することができるのです。

 

上司も同じです。一人の人間として自分の人生をどう生きるのか、達成感をどのようにして得ていくのかについて考えている上司が、リーダーとして力を発揮できると考えています。これを解決したい、前に進めたいという双方の思いがなければ面談の時間は無駄です。目的を達成するために業務の一部として面談を行うことを理解しなければなりません。

 

そして部下による上司への信頼です。信頼がなければ、部下は真実を語りません。面談はコミュニケーションなので、一方的に何かを伝達するのではなく、相互理解を行い目的を達成しなければなりません。そうであるとすれば、上司が部下を信頼するのは当然として、部下が上司に心を開く必要があります。心を閉ざし、面従腹背をベースとした上辺だけのコミュニケーションからは成果は生まれません。上司は日ごろから部下に信頼される言動を行い、面談に臨む必要があります。

 

そして、結論を出します。説明を行い、意見をもとめ、役割を明確にしたうえで、協業に同意する。予め想定した面談の目的を達成し、成果を挙げることを相互に確認し、約束する必要があります。

 

  1. 意向面談であれば現状を分かり合ったうえで、部下が前に向って進むことを約束する、
  2. 目標面談であれば、部署でやろうと決めたことのどこを自分が担い、部署目標の達成が自分のやりたいことを達成する一番の近道であることを受容れ、役割を果たすことを公約する
  3. 日々発生する問題解決についても同様に、面談により解決の糸口をみつけ、上司と部下が共に活動し、いつまでに結果をだそうと約束する

ことが求められています。

 

面談を行う上司は、部下それぞれの特性や得意分野、できていないことや育成目標を念頭におき、部下がどうすればやる気を出し活性化するのか、どう支援すれば成長するのかを考えて面談に臨まなければなりません。面談の場を、自らが誰にも頼りにされるリーダーとして成長する場としても捉え、日々努力することが求められています。

 

上司も部下も楽しくて仕方がない面談があちらこちらで行われ、成果があふれ出て職場が盛り上がる、そんな憧れの組織は素敵ですね。